白王子と黒姫
□愛情表現A
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どのくらいそうしていたのだろう
いい加減涙も枯れて、縦に長い教団の中心を
見下ろすように柵に腕を乗せ佇む
「アレン?どうしたんさ、ユウは?」
ふと声をかけられ、アレンは顔も上げずにため息をついた
「…いつもワンセットだと思わないでくれます…?」
下っ腹に直接響いてくるかのようなアレンの声に
ラビは聞かずとも、その状況を知る
(ま〜たユウとケンカしたんさね…)
ちらりと覗き見れば、いつもの強気な表情はどこへやら
まるで飼い主を見失った迷い犬のようである
「ユウのことで頭いっぱいって顔してんな」
ぽつりとつぶやけば、アレンは伏せていた顔をガバっと上げた
キツく睨まれ、ラビが一瞬たじろいだのも塚の間
「誰があんなパッツ…!…っ…」
再びじわりと、その目に涙が滲む
「…神田…」
「あ〜あ…ったく…」
「好きだと思っているのは…僕だけなのかな…」
「アレン…」
手すりに乗せた腕に、顔を伏せてしまったアレンの頭を
ラビがくしゃくしゃとなでた
アレンは少し涙もろいところがある
それはラビも知っていた
しかし、普段はあまり、弱音を吐かない性格であることも
ラビはよく知っている
(こりゃちょっと重症さぁ…)
彼らのケンカなど、生活の一部だ