紅の兎と白い子犬

□ポッキーゲーム
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 コンコン

ノックの音に、軽く返事をして
そっとその扉を開ける

「よっ、ア〜レン」

「ラビ?」

私服姿のラビがそこに立って、愛想のよい笑顔を浮かべている
一瞬、明るくなってしまった顔を悟られないように
アレンは慌ててなんでもない素振りをしてみせた

「何か用事ですか?」

本当ならば部屋に入れたいくせに
アレンはわざと素っ気なく問いかけた

「お菓子持ってきたからさ、一緒に食べよっ」

そういうと、ラビは手に持った包みを目の前に出した

「…そういうことなら…どぉぞ」

アレンは目をそらしながらラビを招きいれる
ラビは知っていた
テレ屋なアレンには、部屋に招き入れるための
ほんの少しの『理由』が必要であることを…

(ほんと、素直じゃねぇんだから…)

意地っ張りな少年の背中に、ラビはクスリと笑みを零した

包みを広げれば、中には沢山のお菓子が入っていた

チョコレートにキャンディー
クッキー、クリームの挟まったビスケット
それから、チョコが塗られた長細いビスケット
そう、いわゆるポッキーと呼ばれているお菓子

紅茶を淹れ、何気ない会話を交わしながら
それを頬張るアレンの笑顔が
ラビはたまらなく好きだった

「食べてる時はホントに幸せそうさね〜」

「なんです…?そんなマジマジと見ないでくださいよ…」

思わず口に出せば、アレンは拗ねたように
ラビの目の前に手の平をつきだし
その視界を遮った

「なんだよ〜、隠すなってw」

「も〜、人の顔見て喜ばないでくださいよ!」

「アレンの幸せそうな顔、記録しとくんさぁ〜」

「や、やめてください!」
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