紅の兎と白い子犬

□本の虫
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 お互い任務がない時は、決まってラビはアレンの部屋に訪ねてくる
それはもう当たり前のことになっていた

「でね、その時に神田ってばまた睨みつけてきて…」

「ん〜…」

任務の関係などもあり、エクソシスト同士が
いつも一緒にいられるなんてことは、そうあるものではない

こうして、ラビとアレンが一緒にいられるのも
実に数週間振りのことだった
それなのに、ラビときたら…

「ねぇラビ…僕の話聞いてます…?」

「ん?あ〜…ユウは相変わらず蕎麦食ってたって?」

(…全然聞いてない…!)

久々にとれた休み、確かに歴史の勉強もしたいだろう
読みたい本もあるだろう
それがわからないアレンではないが
せっかくこうして久しぶりに一緒にいるというのに
彼はまったく本から目を離そうとはしない

一生懸命話かけて、少しでも気を惹こうとしても
この有様である

「ラビっ!いい加減にしてくださいっ!!」

さすがのアレンも、痺れをきらしたように声を荒げた

「ア、アレン…?」

「アレン?じゃありませんよ!」

なかばひったくるように、ラビが持っていた本を取り上げると
ポイとそこらに放り投げる

「あ〜…悪かったって」

苦笑を浮かべ、アレンの頭をぽんぽんと撫でる
そんなラビに、少し表情を和らげたアレンだったが
直後、放り投げられた本にすっと手を伸ばしたことで
アレンのこめかみ付近で
何かがブチンと切れる音がした
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