ミンナナカヨシ

□僕+僕=僕
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「ん〜…そんなこと僕に言われたってねぇ…」

ここは司令室

ソファには、どこかの貴族かのように
気位高い様子で、足を組み座る髪の長いアレンと
肩をすくめ、落ち着かない様子で辺りを見回す
普段の容姿と変わらないアレン

「…室長が作った薬じゃないんすか?」

「リーバー君!諸悪の根源はいつも僕だと思ってるでしょ!」

プンスカと怒るコムイに、口にすら出さなかったものの
日頃だいたいそうだろうがと、心の中でリーバーは悪態をついた

リーバーとコムイが、そんなやりとりをしている最中

「何をそんなに震えているんですか…?」

長い髪をサラリとかき上げながら、震えるアレンに
問いかけるのは、髪の長いアレン

「だ…だって…こんなことになっちゃって…どうしよう…」

まるで子供が戸惑うように、キュッと握った両手が
小さく震えている

「大丈夫、そんなに怖がることはないですよ…」

その震える手に、そっと手を重ね、優しく握る

「あ…」

驚いたようにその手の主を見上げる顔は
ほんのりと赤く染まっていた

「…って、あの2人、両方共アレン君なんだよね…?」

「…なんだか、見つめあっちゃってますが…そのはずです…」

同じ顔のはずなのに、かもし出す雰囲気が
あまりにも対照的な為に
それはまるで別の人物のようにすら見える

「とにかくだ、元は一人の人物なんだから…
 要するに一つに戻ればいいんだよね?」

コムイの何気ない一言

「室長…んな当たり前のこと…それを今どうするかって…」

「そうか…」

リーバーの声を遮ったのは、髪の長い方のアレン

「…何ですか?」

隣にいるアレンも、恐る恐る彼の顔を覗き込む

「簡単なことじゃないですか『一つになれば』いいんでしょう…?」

隣にいるアレンの腰に、軽く手を添え
髪の長いアレンは、目を細め、妖しく微笑んだのだった
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