白王子と黒姫

□バレンタインストーリー
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 ようやく女性達に解放され自室に戻ったアレンは
任務に持っていっていたトランクの中から
小さな包みを一つ取り出す

女性達に沢山プレゼントされたのと
とても似た雰囲気の小さな包み
少し照れくさそうに、手に持ったそれに視線を落とす

「部屋にいるかな…」

女性達に気づかれないように、そっと部屋を出ると
手に持った包みを隠すようにしながら
アレンは足早に、彼の元へ向かった


コンコン コンコン

人の気配を微かに感じるのに
ノックに反応が返ってこない

コンコン コンコン

どうやら部屋の主は、完全に無視を決め込むつもりのようだ

(…どうせ女の子だと思ってるんでしょう…)

アレンは随分と深いため息をついた
仕方がない、とアレンは改めて息を吸い込む

「神田!いないんですか?コムイさんに伝言頼まれてるんですが…」

我ながら白々しいと、アレンは思う
しかし、ココにはユウの部屋の他にも
沢山のエクソシストの部屋がある

誰かが聞いていて、こっそり部屋に来ているのが知られては事だ

しばらくして、ようやくその扉が開かれる
出てきた相手の表情は、たまらなく不機嫌そうだった

予想はしていたものの、そんな歓迎の仕方に
アレンは再びため息を漏らした

「…なんの用だよ」

ドアだけ開け、さっさと部屋の中に戻ってしまったユウが
不機嫌そうにドスっとベッドに腰を下ろしつぶやいた

「用なんかなくたって来てるじゃないですか…」

ボソリとつぶやく、今日はいつになく機嫌が悪いユウに
何から語りかけていいのかがわからない
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