白王子と黒姫

□ご主人様の言う通り
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「なんだ…コレは…」

「わかりません?メイド服ですよ」

さも当然と言わんばかりにケロリとした顔で
それを言ってのけるアレンに
ユウは怒りを通り越して、恐怖すら覚えた

「誰がこんなも…」

「もちろんそう言うと思いまして…」

ユウの言葉を遮ると、アレンは
『ティム、おいで』といつも側にいる
金色のゴーレムを、小鳥にそうするかのように指に留まらせる

「…?」

ニヤリとするアレンを、ユウは黙って見つめるしかない
アレンが何やら促すと、ティムは映像の再生を始めた

「っ!?」

それは先ほどの自分の映像
不思議の国のアリスに扮した自分が
一喜一憂する様が、余すことなく撮影されている

「コレ…みんなにお見せしてもいいんですよ…?」

再生を止めようと、思わずティムに手を伸ばすが
素早いティムは、スルリと難なくその手から逃れる

「…着てくれますよね?」

ユウの本当の災難は、ここが幕開けだったのかもしれない

改めて思い出してほしい
ここはユウの部屋

着替えろと言われて、どこか別の場所で
着替えてくることなどできるはずもなく

アレンがニコニコと見つめる中
さらにはティムすらも見守る中
ユウはその衣装に身を包むこととなる

その悔しそうな表情を、終始見つめているのだから
コムイなど比べ物にならないほど性質が悪い

「わぁ〜!やっぱり似合うじゃないですか〜!」

短すぎる裾を、いっぱいに引き下ろし
耳まで赤くなりながら、座り込むユウを
アレンはキラキラとした眼差しで見つめている
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