白王子と黒姫

□Radiant Princess
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ずっと俯いていたアレンの視線が
まっすぐにユウを捉える
鋭さすら感じるその視線に
ユウは思わず身動きが出来なくなった

「いつか離れ離れになるなんて、現実だけで十分だよ…ねぇ…?」

「っ!」

ようやくわかった
アレンの『言いたかった事』

その思いに気づき、急激に胸を締め付けられても
ユウは、アレンから目をそらす事が出来なかった

自分の胸の内まで、覗かれているようで
とても居心地が悪いのに
アレンのまっすぐな瞳は
ユウを決して逃がさなかった

「御伽話の中にくらい…希望があってもいいのにね」

そう言いながら、アレンは
まるでピエロのようにニッコリと笑う

「お前…」

「だってそうでしょう?」

言葉と共に、フワリと距離を詰めたアレンの手が
ユウの頬に触れた

刹那、唇が塞がれ
言の葉の続きは宙を舞う

しばらくして、離したユウの下唇を

名残惜しそうにペロリと一舐めすると

まだ何が起きたのかわからないといった様子で
大きく目を見開いているユウに
クスリと、艶かしく
しかしどこか儚げな笑みを見せた

「…現実は、いつだって想像以上に過酷なんだ…」

「な…」
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