紅の兎と白い子犬

□ヤキモチ
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 1日中の聞き込み捜査の結果
この街の奇怪現象は、どうやらこの地の
特殊な地形から起こる自然現象であるらしいことがわかってきた

『イノセンスの可能性は薄そうか…』

苛立ちを抑えながらの聞き込みは
思いの他体力を消耗した
グッタリと疲れて、教団が予約していた宿に戻る
ため息混じりに部屋のドアを開けると…

『よっ、アレンおかえりw』

憎たらしい満面の笑みに出迎えられた
あからさまに怪訝そうな顔を作ったアレンは
『間違えました』と言わんばかりにドアを閉める

『ちょ〜っと!待つさアレン!』

慌てるように開かれたドアに、アレンはゆっくり振り返った

『なんでいるんです…ラビ…?』

あまりに嫌そうな表情と物の言い方に
自分のせいだとわかりつつも、ラビは小さく引きつってしまう

『なんでって…聞いてねぇの?今日この部屋共同さっ』

『はいっ!?』

驚いて、ラビを退けるように部屋を見れば
たしかにベッドが2つ用意されている

『ここしか部屋がねぇんだってさ』

後ろからラビの声が聞こえる
こんな夜も更けてからでは、我侭も言ってはいられない

『・・・・・』

アレンはムスっと口をつぐむと、団服を脱ぐ
衣装掛けにそれをつるしながら、またしてもため息
どんな顔をして振り返ってよいのかがわからない
自分の苛立ちは納まらず、かといって
これ以上にぶつけてみても、この部屋に
嫌な雰囲気が漂ってしまうだけなこともわかっていた
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