紅の兎と白い子犬

□ポッキーゲーム
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視界を遮った手をラビが除ければ
アレンが慌ててまた、遮ろうとする
2人のじゃれ合いはしばらく続いた

テレくさそうなアレンの顔が愛らしく
ラビはついこうして彼をからかってしまう

アレンもまた、口では素直になれずにいるが
こうしたラビとのやりとりが
こうして流れていく穏やかな時間が
とても好きだった

しばらくそうしていた後
ラビが、ポッキーの先をパクリとくわえる

「ん〜」

ポッキーをくわえたまま、それを突き出すように
アレンに近づく

「…え?」

一瞬、キョトンとしたアレンだったが
クイ、と突き出されたポッキーと
ラビを何度か見比べ、その意図を知る

「な!何ふざけてるんですかっ!」

その意図を察した瞬間、アレンは真っ赤になり
後ずさるようにしてラビから距離をとった

「ふざけてねぇさ、ホラホラ〜」

見れば、そのポッキーでお菓子は終わりである

「俺が食べちゃっていいの?」

ラビはニヤリと挑発的な笑みを見せた
アレンは思わずグッと黙る

「ホラ、やって」

クイと顎を上にあげ、ポッキーを前に突き出す
アレンはテレくさそうに視線を泳がせた
イヤ、なわけではない

「最後の一本じゃなかったら、こんなことしないんですからね…」

ボソリと言い訳のようにつぶやく
いつだってそう、ほんの少しの『理由』が必要

それがわかっているから
ラビは上手に先手をとっていく

その『理由』を作ってあげる
素直になれない、愛しい人のために

「半分こ、ですからね」

「ん♪」

躊躇いながら、ゆっくりとアレンが
逆側をくわえる
キュッと目を閉じ、相変わらず真っ赤な顔で
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