紅の兎と白い子犬

□本の虫
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その瞬間ラビは、アレンの頭に角が生えたように見えた

「あぁそうですか…そんなに本がいいですか…」

ギロリと睨まれ、ラビは思わず本に伸ばした手を引く
イノセンス発動は覚悟しなくてはと
咄嗟に身構えたが、アレンの反応は意外なものだった

「…そんなに…僕に興味わかないです…?」

「へ…?」

一瞬、悪魔が光臨したかのように見えたアレンが
小さくなって肩を落とし、シュンと俯いている

「こんなに近くにいても、ラビの目には映れないんですか…?」

少し顔を上げ、上目づかいに見上げてきたアレンの瞳に
じわりと涙がたまっていく
これにはラビも、平常心を保ってはいられなかった

「わ、悪かったって!泣くなよアレンっ!」

もはや本の事など忘れ、アレンの両肩に手を添える

「俺の目には、ちゃ〜んとアレンが映ってるさ」

「ホント…ですか…?」

潤んだ瞳の中に、自分が揺れている
まるで捨てられた子犬のようなアレンに
ラビは罪悪感を覚え胸を痛めた

ふと、揺れていた自分が消える
アレンが目を閉じたせいだ
ラビを見上げる形でいた、そのままの体勢で
アレンが目を閉じている

ラビは目をぱちくりとさせてしまった

そのままの状態で、2人の間の沈黙は続く
2分…3分…

アレンの頭に怒りマークが浮かび上がる

次の瞬間…
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