紅の兎と白い子犬
□本の虫
2ページ/9ページ
その瞬間ラビは、アレンの頭に角が生えたように見えた
「あぁそうですか…そんなに本がいいですか…」
ギロリと睨まれ、ラビは思わず本に伸ばした手を引く
イノセンス発動は覚悟しなくてはと
咄嗟に身構えたが、アレンの反応は意外なものだった
「…そんなに…僕に興味わかないです…?」
「へ…?」
一瞬、悪魔が光臨したかのように見えたアレンが
小さくなって肩を落とし、シュンと俯いている
「こんなに近くにいても、ラビの目には映れないんですか…?」
少し顔を上げ、上目づかいに見上げてきたアレンの瞳に
じわりと涙がたまっていく
これにはラビも、平常心を保ってはいられなかった
「わ、悪かったって!泣くなよアレンっ!」
もはや本の事など忘れ、アレンの両肩に手を添える
「俺の目には、ちゃ〜んとアレンが映ってるさ」
「ホント…ですか…?」
潤んだ瞳の中に、自分が揺れている
まるで捨てられた子犬のようなアレンに
ラビは罪悪感を覚え胸を痛めた
ふと、揺れていた自分が消える
アレンが目を閉じたせいだ
ラビを見上げる形でいた、そのままの体勢で
アレンが目を閉じている
ラビは目をぱちくりとさせてしまった
そのままの状態で、2人の間の沈黙は続く
2分…3分…
アレンの頭に怒りマークが浮かび上がる
次の瞬間…