赤い兎と黒いネコ

□はちみつKISS
4ページ/8ページ


ノックをするのも忘れ、そのドアをバタン!と開ける

相手は病人であることを、はたと思い出し
ラビは慌てて、静かにその扉を閉めた

「…ユウ〜、大丈夫さ〜…?」

布団の中で横になっているユウの様子は、部屋の入り口からではわからない
ユウからの返事は返ってこなかった

(あれ…?寝たんかな…)

時折聞こえてくる咳き込みと、それに伴う荒い息遣い
やはり辛いのだろうかと、少し頭を冷やし
労わる気持ちでユウに近づく

(…なんか苦しそうさ…)

ベッドの傍らにまで近づくと、ユウは壁側を向いていた

息が苦しいのか、なにやら肩で息をしているようだった
その様子に、心配は募る

「ユウ…」

思わず肩に触れると、彼の体がビクリとした

「あ、わりぃ!脅かしちまった!?…て、ユウ熱っ…」

過剰な彼の反応に、咄嗟に謝りはしたものの
右手に残る熱は、ユウがかなりの発熱をしていることを物語っていた

「大丈夫かユウ!すげぇ熱いさ!」

ぐいっとこちらに向かせ、ラビは一瞬硬直してしまう
真っ赤になったユウの頬、潤んだ瞳
荒い息遣い、肩を掴んだ手に伝わってくる早い鼓動

先ほどの状況が、少し悪化しただけのように思える
しかし、実際その様子を目の当たりにすると
それは多少意味が異なっていることに、気づかざるをえない

「ユ…ユゥ…?」

思わずどぎまぎとしてしまう

「…熱い」

ボソリと発せられたユウの熱っぽい声

(うん!うん!そりゃ見たらわかるんだけどさ!)

ユウが寝間着として着ているのは
故郷のものなのか、和風のもので
寝相のよいユウは、眠っていてもそれを着崩すことなどないのだけれど
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ