◇幾何学◇

□共に
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「お、ユウじゃん。おはよ。」

遅刻ギリギリの通学路。
神田がぼんやり考え事をしながら歩いていると、赤毛の神田と同じ制服を着ている少年が声をかけて来た。

「…………」

「ユーウっ!」

肩を叩かれ、神田は少年の存在にようやく気づく。

「!!…なんだ、ラビか。」

「どしたの?ボーっとしてなかった??」

「……別に。」

「なら、良いけどさ..。」

「………。」

「あ、それよりコイツ紹介するな。」

「…誰?」

ラビの後ろから、白髪の少年が静かに前に出る。


「部活のコーハイ。コイツ、部の期待のホープなんだー。」

「そんな..期待のホープなんて、僕はアレン・ウォーカーです。これから、宜しくお願いします。」

「……。」


神田は『下らない』と呟き、すたすた先に行こうとした。

「ちょ、待てって!」

ラビは慌てて神田の腕を掴む。

「……何か、不満でしたか?」

「ああ、不満だな。まず、その胡散臭い笑み止めろ。」

「バレていましたか」

「当然だ。」

「流石ですねー。えっと何先輩でしたっけ?」


「……神田だ。」

「…え?ユウっ」

ラビが神田を引っ張って小声で聞く。


《今の、どういうつもりさ?》

《何が》

《今、神田って..》

《あぁ、俺の本名。》

《嘘っマジで!?》

「あのー..先輩方」

「あ、わりーわりー。何でもないんさよ。」

「…いや、そうじゃなくて..」
「じゃあ、何だ?」


「……もう、遅刻じゃないですか..?」


「「あ゛...」」

固まる2人、特に神田。


「…どうします?」

「今から行ってもなあ、俺らの担任五月蝿いし..サボっちゃおうか、ユウ?」

「………いや、何で俺なんだよ。」

「だって、ユウは俺が決めたら聞いてくんねーじゃん。」

「……お前らのせいで学校行く気なくなった...。」

「じゃあ、サボるの決定〜」

「…いいんですか?」



「うん、いいの、いいの。レポート増えるだけだし。」

「……レポート。」

「俺も手伝うって、ユウ今月1枚目っしょ?俺なんか、もう5枚ぐらいたまってるし。」

「…大丈夫なんですか、それ..」

「…多分..」

「お前は成績良いから、余裕でいけんだろ。」

「あー..ラビ先輩って、物凄く頭良いですもんね。」

「ん、そんな事ないさよ。」

「そーだな。性格はバカだもんな。」

「…そうそう、、性格はー...っておい!」

漫才のようなやり取りを見ていて、アレンがついに吹き出した。


「何が可笑しい?」

「いや、神田先輩っていつも仏頂面だから..恐い人なのかなーって思ってたんで。だからラビ先輩と合うんですね。」

「そうそう、だからユウと俺は親友...痛っ!何するんさ..ユウ!!」

「…調子乗んなバカ兎。」

「だからって、殴る事ないだろー。」

ラビが殴られた所をさすりながら言った。

「大体、誰と誰が親友だ。」



「俺とユウ、それからアレンもな。」

「え、僕もですか??」

「うん、俺にとってアレンは可愛い後輩で、親友さ〜。」

「ありがとうございますっ……で、1つ聞いて良いですか?」

「ん、何?」

「…さっき一旦スルーしちゃったんですけど、神田先輩が言ってた[バカ兎]って..何ですか?」

「……出来れば、そのままスルーして欲しかった..。」

「…だって、雰囲気的に兎だろ。」

「そうですけど」

「え、其処は否定してくんないの..?」

「ハイ、事実ですから。」

「うわーっ、ひでーひでー..2人共、マジで酷いさぁぁ」
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