◆interest family◆

□光を遮る雲
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ノアになって半年。

俺は...人間を殺す事にためらいを感じなくなった。


幸いか否か。あれ以来、仕事中にエクソシストに遭う事はもうなかった。

まるでこちらの動きを伺うかのように、全く動きがなかった。

…ムカつく...


オレらが優位に立っている事は、充分判ってるはずだ。
なのに何故、行動しない。

俺がいた時は、ほんの僅かな可能性があれば何らかの行動をしていたじゃないか。悪あがき、していたじゃないか。

また中央庁の圧力か?それとも何だ、コッチをイラつかせる作戦か?
……ぁー知りたい、知りたい、知りたいっ!


イライラすんだよっっ!!

ちょっと前まで簡単に知れてた事を知る事が出来ない。

気になる、何で行動しない。何で行動出来ないんだ...。


「……」


多分此処は屋上。
部屋に籠もってても余計に塞ぎ込むだけ、だから此処に来た。でも、無駄だった。
俺は手すりに頭を抱え込みながら、入って来た人の影に、そのイライラした気持ちをぶつけた。

「…誰だっ!」

「…私だ。」

人の影は俺の隣に立ち、手すりに肘を乗せ前を見る。

「…何の用だ。」

「何でもない。
此処に来たくなっただけだ。」


見え透いた嘘をつかれた。それを指摘する気力はもうない。

「随分荒れてるな。」

「何が」

「お前が。」


「荒れてなんかねぇー。お前、俺に気があんの?何で俺の全てを知ってるみたいな顔してんの??」

「…馬鹿だなお前は。私はただ、お前に興味があるだけだ。」

「興味あるってそいう事じゃね。いいぜ?俺、ルルの事好きだし。」

顎を掴んで無理やりこっちに顔を向かせる。驚く事に、ルルは涙を流していた。


「…ルル?」


「…お前は、自分の思う様に生きてさえいればそれでよかった。」

「……思う様に生きようったって、生きられない時もあるんだ。」

「だからといって、何故自分を捨てる必要がある?」


「..自分を捨てる?」

「ああ。何故自分を見失って、感情と欲求の中に身を投げ入れるんだ。」

「…怖いんだよ、俺は...。」

そうだ、怖い、恐い、コワい...

「………闇に染まっていく自分が、コワいんだ。己の外枠?そんなのを破りさって、狂気に身を任せてる方が、気が楽なんだよ。」


「……そうか。」

ルルは俺の手を振り払い、背を向けた。

「……」

「…お前には失望した。」

「…」

「狂気に身を任せるから自分がわからなくなるのだ。そんな事もわからず、その方が楽だと?ふざけるのもいい加減にしろ。お前に興味があったのは、お前が自分だけの空間を持っていたからだ。狂った奴にもう興味はない。」
ルル=ベルは去った。


ー…自分だけの空間か。
知らねえよ、そんなもん。

いいさ興味なんかなくって。俺は俺なんだ。
俺は決めた。


もう我慢すんのはヤメタ。

手始めに、軽く外に行ってみるか。
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