◆interest family◆
□闇という名の盾。
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光は手放したらすぐに離れていってしまうけど、闇はどんなにもがいて逃げようとしても決して解放はしないのだ。
ある男の話をしよう。
その男は、赤い長髪を無造作に後ろで1つにまとめ、神父の格好をしていた。前髪が斜めにおろされており、顔の右側がよく見えない。その右の側頭部には、ある程度治癒した今でも充分存在を主張している銃痕があった。それは敵からも味方からも姿を隠す為に、男が自ら撃ったものだ。
けれど、その代償も小さくはなかった。
いくらこの男だって、若かった頃の様に生死に関わる傷を持ったまま長時間自由に動けるわけじゃない。男は鈍い体を術で無理やり動かし、なんとか気力を保ったまま関係者の所へ着いた。
だが長時間の出血と体を限界まで酷使した為、体が麻痺した。今もまだ右腕の痺れが抜けない。
男は初めて、自分がどんなに衰えていたのか知ったのだった。
でも、後悔はしていなかった。
そこまでしてこの男は終わらせたいのだ。
ーこの聖戦を終わらせて、もう二度と起こさせはしない。…例え、自分の命だけでなく他の沢山の命を奪ったとしても。男は、そう考えているのだった。