◇幾何学◇
□日常災難
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僕は捨て子だった。誰も通らないような場所の、今にも崩れ落ちてしまいそうな程朽ちかけていた橋の下に、安いタオルにくるまれてダンボールに入れられていたそうだ。
そんな所にいた僕を何故あの人は見つけられたのだろうか..とか、そんな事はどうでもいい。
兎に角、その時はあの人に命を救われたたんだ。
…その時だけは。
今僕は、借金取りを撒こうと必至に走っている。
最近、また増えて来た。
家は今の所バレてないけど、こんなに追っ手が増えたらもう時間の問題だろう。
しかもラビ先輩と分かれてからすぐに追いかけて来たという事は、待ち伏せされてた可能性が高い。…昔から鍛えられてたから、もしつけられたら気配でなんとなくわかるし。
…はぁ、はぁ...
息がきれてきた僕は、たまたま近くにあった公園の林の中に逃げ込んだ。
次、捕まったら殺されるのかなー、、
前に1度捕まって変な所に監禁された時は、ホントにヤバかった。
隙を造らせて逃げ出したけど、殺すつもりだったに違いない。
「…そろそろ..行こ」
本当は日没まで待って、闇に紛れられればいいんだけど、、そうもいかない。
今日は学校がたまたま早く終わって部活もなかったから、日没までまだ2時間近くもある。
そんな長い間、此処に留まっているのは不可能だった。
僕は歩き出そうとした。
でも、誰かに後ろから急に肩を掴まれて、身動きが出来なくなってしまった。