◇幾何学◇
□僅かな時間
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「…結局、モヤシはずっと泊める事になったのか?」
「そうさー。ま、卒業まではなんとかなるさろ。」
放課後のファーストフード店。
今日は、リーバーが用があるとかで補習がなかった。
で、ラビに話があると言われて此処に来て、さっきから部活とかモヤシとか、、、つまり本当にどうでもいい話しかしない。
…要件は大体わかる。リーバーはちゃんと話をしたはずだ。
でも、ラビは絶対に納得しない。あの時はそんな事を考える余裕がなかったから、正直安心していたけど。
一応、ラビが納得するまでは話をする覚悟をして来た。
だからその覚悟が鈍る前に話したい。
「そのどうでもいい話はいいから、早く要件を話せ。」
「どうでもいいって...つれないな〜ユウは。」
「…続けるなら帰る。」
「いや..話したいけど、聞いていいのかなって...」
「今更かよ。ヘタレ兎。
お前が今俺に何について聞きたいか大体わかる。何聞かれてもいいから早く話せ。」
少しキレ気味に言い放つ。
「……こんなに口悪いのにどうしてモテるんさろね。」
「知るか。俺はマジで迷惑してんだよ。」
「…その台詞、一度でいいから言ってみたいさー。」
……何だよ、俺は好きでこんな顔に生まれた訳じゃねーっつうの。
「ぁ、先輩ー。今日はサボリですか?」
「……リナリー...」
げ..ダルいのが増えた。
「何の話、してるんですかー?」
「ユウはどうしてモテるのかなって、話さ。」
「それは、ユウ先輩だからですよ。」
「…答えになってないさ、それ。」
「ユウ先輩はー、カッコよくて、ちょっと馬鹿な所が可愛いんです。」
「ほらユウー、告られてんぞ。」
「…けっ、、」
「それと...」
「……まだあんの?」
「それと、無口だけど...とても優しい所が、、、、」
「ツンデレさ?
やっぱ、女子はツンデレに弱いんさねー。」
「………もう、いいだろ..邪魔だ。帰れ、リナリー。」
「…嫌です。どうやってそんな話になったんですか、ラビ先輩。」
「ぇ、、それはー...」
「いい加減にしろ。帰れって言ってんだよ。」
「嫌です!」
いつもは冷静なコイツがこんなに感情的になっている。
…じゃ知ってんだろ?、、ラビじゃないって事は、モヤシか。
だったらいいだろ。
俺だってつれーんだ、この話に触れんのは。
「……俺には好きな人がいたって話だ。」
「………でも過去の話ですよね。」
「ああ、10年も前の過去の話だ。でも..まだ好きなんだ、多分。
だから..お前には「もういいです。」」
「…」
「もういいです、ユウ先輩。
長い間、迷惑をかけてスミマセンでした!」
「ちょ、、おいリナリー!!
ユウ、今の言い方いくら何でも酷すぎだろ!」
「…っるせぇな。アイツはもう知ってたんだ。俺だってあの話思い出すだけでも、、滅茶苦茶ツラいんだよ....。」
…そうだよ、俺は最低な奴だ。
その場を逃げるように必至に走っていったリナリー。
その姿を俺は直視出来なかった。