◇幾何学◇

□非現実
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夢と現実の境目は凄く曖昧。
今は確かに目覚めたはずなのに頭がぼーっとしていて周りがぼんやりと見える。
ああ、でもまだ夢かもしれない。だってあの人が優しそうな顔で私を見ているんだもの。

「ー起きたか?」

「……うん」

これはきっとまだ夢の中。夢はその人の潜在意識が望んでいる事。私はこんな事を望んでいたのだろうか。

「..どうして、此処にいるの?」

「お前に聞いておきたい事があってな。」

お前は、これから何処へ進むつもりだ?

なかなか私しには見せない真剣な顔で、あの人は聞いた。


「ついていくよ、ずっと。」

あの人はそれを真に受け止めていなかった。私は本気なのに。

「ねえ、彼奴はどうするの?」

「彼奴は、後を継ぐんだとよ。だから明日からは俺の付き人だ。」


彼奴らしい、そう思った。


「…女癖も?」

「俺の厳格さと真面目さだけ真似してもただのつまらない人間で強くもなれないだろ?」

笑ってそう言われたら私は何も言えない。

「お前はどうするんだ?」

また聞かれた。


「彼奴がこっちに来るまで、彼奴の所にいさせて下さい。…もっとよく、考えたいから。」

嘘。結局は変わらないと思う。どんな選択をしても、それはその時の気分の違いだけで結果は全部同じ。
ただ、昔の記憶があるこの街にいると精神的に安定しないのだ。
あの人はそれを受けた。

「…後、3ヵ月だけ時間をやる。その間は何してもいい。ただし、俺が少しでも納得しない今みたいな本心とかけ離れている答えを出したら、お前を捨てる。いいな。」



私は笑った。ーああ、これは現実なのだ。
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