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□冷たい花
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切れそうな程に鋭い目線。
躊躇いのないのない太刀捌き。
初めてライの戦う姿を見たときは、鳥肌がおさまらなかった。
今まで生きてきて、女のひとに恐いという感情を抱いたのは二度あった。
一度目はレイラさん。二度目はライだった。
レイラさんの言動は勇ましくて、その迫力にはじめは圧倒されていた。けれども、それは仲間を心配するからこその厳しさだっていうことも伝わってきて、なんて言っていいか分からないけど、暖かくて、どこか炎みたいだと思った。口にすると怒られそうだけど、きっと母親ってこんな感じなんだろうとも。
でも、ライの恐いは、また別のものだ。
一瞬にして魔獣の急所を見抜いて、息も乱さずに薙払う姿は後方から見ている俺にすら恐怖を与える。
エアベルンに乗っている仲間たちのことはみんな好きだ。けれども、ライだけは、実を言うと少し苦手だった。