その他

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「火傷しないでよ」

「大丈夫だって。ダイナマイトで結構火傷には慣れてるから」

「そういう問題じゃなくて……」



こめかみを押さえる雲雀の隣で獄寺はお湯をボールに注いでいく



「ヒバリィ〜お湯注いだぜ」

「じゃあ少し冷ましておいて」

「……なぁ、本にも書いてあったけどさ、何で沸騰したお湯で湯せんしたら駄目なんだ?」



やかんを洗いながら獄寺は聞く



「それはね、チョコ風味が飛んじゃうからだよ」

「へぇ。……冷めるまで待つの面倒くさいから少し水入れてもいいか?」

「そうしようか。僕も待つの嫌だし」



雲雀は食器棚から空いてるコップを出す。そこに水を入れていく



「お湯の温度は僕が調節してあげるから
隼人は別の空いてるボールに刻んだチョコを入れて」

「おう」



チョコが乗ったまな板を持ち上げて、手で入れていく

その隣で雲雀は少しずつ水を入れていく



「……これくらいかな」



ボールに指を突っ込み温度を確かめる



「隼人そっちはどう?」

「ん、全部入ったぜ」

「じゃあそれをお湯に浮かべて。あっ、お湯が入らないように気をつけてよ」



そう言われて獄寺は慎重にお湯にボールを浮かべた



「浮かべたぞ」

「じゃあ混ぜようか。はいゴムべら」

「サンキュー」



獄寺は受け取ったゴムべらを持つ



「ちょっと待って」



そう言って雲雀は獄寺の後ろからゴムべらを持つ右手を包むように上から重ねる

左手も同様にボールを持つ手に重ねる



「ヒ、ヒバリ!?」

「何?」

「何じゃねぇよ!!何やってるんだお前」



獄寺は後ろを振り向いて言う。頬を赤く染める顔を見て、雲雀はクスリと笑う



「隼人1人じゃ絶対失敗するでしょ。だから手伝おうと思って」

「こ、これくらい1人で……」

「チョコにお湯が入る事なく溶かしきれる自信があるのかい?」



バレンタインの時と今日とで、料理に対する自分の不器用さが嫌というほど分かった。だから……



「……アリマセン」

「そうでしょ」

「チッ。し、仕方ねぇから手伝わせてやるよ」



プイッと顔をそらして前を向いた



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