黒猫デイズ

□黒猫デイズ2
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朝、起きると僕はフカフカの布団の中



「(まぁペット用のよりはいいから、そう感じるのかな……)」



そして隣を見ると、銀髪の彼が眠っていた



「(そうだ、昨日僕は……)」









―――――
―――



「お前、こないだの……」



そう言って獄寺はしゃがんだ。そして僕に手を伸ばす



「…………」



いつもなら睨んだり威嚇したりして触られないようにする。しかし今の僕は雨に体力を奪われそれすら出来ない状態で、こうして大人しくしている

……いや違う。彼になら、獄寺になら触られてもいいと心のどこかで思っているから、かもしれない



「うわっ!?お前びしょ濡れじゃねぇか」



頭を撫でながら彼は言う



「(ずっと雨の中にいたんだから当たり前じゃん)」

「つーか何でお前がこんなところにいるんだよ。商店街はこっちじゃないぜ」

「(知ってるよ。だって商店街から来たんだもん)」



頭でそう思っても、猫だから声はニャーニャーとしか言えない
当然彼には伝わらない



「ひとまずどうしよう。このままほっとくわけにもいかねぇし……」



獄寺は顎に手を添えて考える



「(確かに。ここにほっとかれるのはさすがの僕でもキツいな)」



そう思いながら僕はジッと獄寺を見る
獄寺はうーんと唸りながら考えている

時折僕の頭に乗せられた手が思い出したかのように動き、僕の頭を撫でる



「……よし決めた!!」

「!?」



そう言うと傘を肩に乗せて落ちないように首で押さえる。そして両手で僕を持ち上げた



「(えっ、ちょっと……)」



そのまま抱えるように僕を胸元に持ってくる



「(制服が濡れるから離して)」



言葉が通じないからジタバタ暴れる
僕が触れているところから徐々にシャツのシミが広がっている



「こら暴れるなよ」



僕が暴れれば暴れるほど獄寺はギュ〜と抱きしめてくる
これでは余計濡れてしまうと思い、動きを止めた



「別に取って食おうなんか思ってねぇぜ。オレの部屋に連れて帰るだけだから安心しろ」

「(えっ)」

「あっ、でもマンションは動物とか駄目だから、少しの間ここに入ってろよ」



ほぼ空っぽな鞄の中に入れられる

ファスナーを閉めた事によって暗くなった空間


ゆらゆら揺られながら僕は知らないうちに目を閉じていた


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