黒猫デイズ

□黒猫デイズ4
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「ワオ、元に戻ってる」



洗面所の鏡を見ながら雲雀は自分の頬や頭を触り、こう言った



「顔中が毛だらけじゃない。でも何で耳だけ猫なんだろ?」



僕の頭には黒い猫耳。あっ、尻尾も残ってる



「(それにしても……)」



何で急に人間に戻ったんだろう。猫になった時はケージの中で出来る限りいろんな事をしたが、戻る事はなかった
それなのに何故急に……



「……もしかしてキスしたから、とか?」



おとぎ話の世界ではよくある話だ

毒林檎を食べた白雪姫にキスをしたら生き返ったり

呪いで眠ってしまったお姫様にキスしたら目覚めたり

蛙にキスしたら王子様に戻ったり――



「うん、でもここはおとぎ話じゃないからね」



まぁ細かい事は気にしないでおこう。次期に分かるさ、たぶん











「さて、これからどうしようか」



寝室に戻ってきた雲雀。時計を見れば、まだ夜は長い
ちなみに耳と尻尾は、自分の意思で引っ込める事が出来た



「(獄寺を起こすわけにもいかないしな……)」



シーツに散らばる銀色を掬う。細くてサラサラなそれは、指の間からすり抜けていった



「(彼には何て言おうか……)」



言ってもたぶん信じない。僕自身も何でこんな事になっているのか未だ信じられない。……いや、でもツチノコやネッシーを信じているくらいだから、もしかして信じるかも……



「(でも言えば何でこうなったのか、とかしつこく聞かれるに違いない。説明するのが面倒くさいし………今はまだこの事を内緒にしておこう)」



いずれ話さないといけなくなる日がきっと来るだろう。その前に他に住める所を見つけてここを出ればいい、うん



「じゃあ久しぶりに人間に戻った事だし。草食動物でも咬み殺しに行こう」



いつものところからトンファーを出す。嗚呼これを持つのは何ヶ月ぶりだろう


高鳴る胸に心弾ませ、僕は窓から外に出た
(えっ、ここ5階?そんなの僕には関係ないよ)


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