獄寺受け
□月夜にキスを奪われる
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マンションに帰って、風呂に入って。濡れた髪の毛をタオルで拭き、ベットにダイブする
「にょお〜ん」
「瓜くすってぇよ」
ベットで丸まっていた瓜が近づいてきて、顔にできた傷を舐める
玄関を開けた瞬間飛び出してきた瓜に引っ掻かれてできた傷だけどな(ちなみに炎をあげたら離れてくれた)
「もしかして帰りが遅くて怒ってるのか?」
「にょん!!」
肯定するように瓜は答える
懐かないし、すぐ引っ掻くし、炎が欲しい時だけ甘えてくるやつだが、もしかしてオレの誕生日を祝いたかったのか?
現に舐め終わった後、瓜はオレにすり寄ってきてる
全然懐かないアノ瓜が
「(考えすぎかな……)」
「にょ!!」
「ん?どうした瓜?」
どうやって持ってきたのか、瓜にたまにご褒美として食べさせている猫缶をオレの手に乗せてきた
「どうした?食いたいのか?」
「にょ〜にょ!!」
瓜は首を横に振る。じゃあ何で持ってきたんだよ。せっかく誕生日だから今日ぐらい開けてやってもいいかって思っていたのに……
「……もしかしてオレにくれるのか?」
「にょおん!!」
今度は首を縦に振る。まさか……
「もしかして誕生日プレゼントか?」
「にょ?」
……そんなわけないか、考えすぎだな。気まぐれでくれたんだよ、きっと
「サンキューな」
「にょおん!!」
でもワリィな瓜。オレ猫じゃねぇから猫缶食べれないんだよな(瓜は豹だけど似たようなものだ)
だからあとでキッチンに戻させてもらうぜ、瓜
コンコン
「!?」
今、微かだがノックのような音が聞こえた。瓜にも聞こえたのか、周りをキョロキョロしている
コンコン、とまた同じ音がする
「これは……ガラスを叩く音か?つーかこんな時間に誰だよ」
ガラスって事は窓か?今いる部屋の窓には誰も居ないからリビングの方だな。あそこには丁度ベランダもあるし
「にょおん!!」
「ちょっ!?待て瓜!!」
瓜はドアを押し開けて部屋から出ていった。オレもその後を追いかける
「瓜!!1人じゃ危ねぇだろ……」
「やぁ」
「!?」
リビングに入ると聞き慣れた声が
「ヒ、バリ……」
窓の外には学ランをなびかせる雲雀恭弥、オレの思い人がいた
デカい月を背にして立つその姿はとても幻想的で、とても綺麗だった――
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