その他

□ファーストラブ
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「紹介しよう。こやつは地獄に爵位を持つ、序列27位の大悪魔よ」

「今は人間の分際で大魔女になられたベアトリーチェ様の家具頭としてお仕えします、ロノウェと申します」



第3ゲームが開始した。そして新たな人物が介入してくる



「太股姉ちゃんに山羊の群れ。さらに今度は執事まで登場するとは……呆れるぜ」



最初は気にくわなかった。ベアトの仲間だし、人を小馬鹿にしたように笑うし
それ以前にコイツは悪魔、つまり非科学的な存在。オレが否定するファンタジーの登場人物なのだ



だが……



「食べてないで推理をしろ戦人」

「す、推理はしてるぞベアト。糖ってのは脳のエネルギーになるから……甘いモノ食べながら考えた方がいいんだぜ」

「うむ、そうであったか……。ではロノウェ、妾にもクッキー!!」

「かしこまりました」



ロノウェが作るクッキーはおいしいから好きだ。今だって本当は推理せずにクッキーを夢中になって食べていた


それを知ってか知らずか、ロノウェは戦人の方を見て、ぷっくっくっと笑いながら姿を消した






アイツは気にくわない



でも最近アイツを見ると何とも言えない感情が、オレの胸の中から沸き上がってくる


温かいような、苦しいような、そんな感情が……



――この感情の名を、あの時までオレは知らなかった










―――――――――――
―――



「妾は用事があるので少々席を外すぞ」



そう言ってベアトが居なくなってからどのくらい経っただろう



「2時間くらいになるかと……」

「そうか。………ってロノウェ!?なな何でオレの思ってること分かったんだ!!」



いつの間にか隣にはロノウェが立っている



「思いっきり口から出ていましたよ」

「そ、そうだったか……」



ビックリした。一瞬心を読まれたのかと思った



「暇そうですね。クッキーでも食べますか?」

「あぁ、もらうぜ」



ロノウェが指をパチッと鳴らすと、空中にクッキーの入った籠が出てきた。
それを掴み、オレのすぐ横にある机に置いた。ついでに紅茶も



「サンキューな」



クッキーを1つ摘み、食べる



「いつも思うけどさ、お前のクッキーってすげぇ美味いよな」

「ぷっくっくっ。ありがとうございます戦人様」



深々と頭を下げる



「お嬢様によると、私のクッキーは魔女界でも人気だそうですよ」

「へぇ〜。でも魔女ってお得意の魔法でクッキーでも何でも出せるだろ」

「もしかしたら、人によって美味しさが違うのかもしれませんね


ちなみに私のは全部手作りですよ」



戦人はすげぇな、と感心して、またクッキーを摘む



「何かおいしく作れる秘密とかあるのか?」

「秘密……ですか?」

「だって市販のヤツでもこんなにおいしいのないぜ。絶対何か特別な材料とか作り方があるんだろ!!」



グイグイっとロノウェの服を引っ張る



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