その他
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雲獄
12月に入って、街はだんだんクリスマスモードになっていく
クリスマスは家族や恋人など、親しい人達と過ごす日な為、去年までの僕には関係なかった
(むしろ群れる奴らが浮かれているから、ムカツクぐらい咬み殺したくなる行事だ)
――でも、今年の僕は違う。今年は、いやこれからの僕にはあの子がいるから……
「隼人。25日には予定入れないでよ」
「………へっ?」
クリスマスの3週間くらい前。応接室で雑誌を読む隼人に、僕はこう言った
「そ、その日は……えっと………」
「……何?もしかしてもう予定入っているの?」
「うっ……」
この反応を見ると、恐らくそうだ。どうせ沢田あたりにクリスマスパーティをしようって誘われたのだろう
「わりぃ」
「別にいいよ」
「そ、その代わり次の日!!26日じゃダメか?」
「………いいよ」
「本当か!!サンキュー」
ニカッて笑い、また視線を雑誌へ戻した
―――――――――――
―――
「しばらく一緒に帰れない?」
次の日。昼休みに僕のところにやって来た隼人がこう言った
「おう。火曜日と木曜日と金曜日。あと土曜日の午前は予定があって……」
「どんな予定?」
「それは……」
僕から視線をそらす。翠色の綺麗な目が泳いでいる
「何?僕に隠し事?もしかして僕がいるのに浮気とか……」
「ち、違う!!それは絶対ねぇ!!
オレちゃんとヒバリの事す、好きだから//!!」
半泣きになりながら僕のシャツを掴み、必死に否定する獄寺
「………疑ってごめん。隼人がそんな事するわけないよね」
隼人はいつも真っ直ぐだし感情がすぐ顔に現れるから、嘘がつける性格でない
「僕も隼人の事好きだよ」
1筋落ちてきた涙を舐める
「で、でも隠し事してるのは本当だし……」
「("隠し事してる"って言った時点で隠せてないと思うよ)
それは、今は言えないだけ?」
「……あぁ。26日に話すから」
「分かった」
いまだに眉毛が下がってる隼人の頭を撫でてあげる
「それより隼人ご飯食べよ。昼休み終わっちゃうよ」
「別にいい。どうせ次サボるし」
その日の放課後、隼人は本当に先に帰ってしまった
応接室には僕1人。シャーペンで文字を書く音しかなかった
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