short story

□ツインズ
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(企画「少年百科」に参加させて頂きました)

八歳の冬。母親の再婚で僕には同い年の兄弟ができた。

「お前、誕生日は?」
「…三月三日だけど」
「ふぅん。俺は七月七日」
「じゃあ、同い年でも、君がお兄ちゃんだね」
「いや…」

幼い容姿に、悪意が込められたような笑顔を浮かべた彼は僕をやけに不安にさせた。

「お前は俺の下僕になれ。」

まだ、声変わりもしていない少年の口から放たれるには似つかわしくない言葉。
それは何年たった今でも、僕を縛り続けているのだった。



「ツインズ」




何処に行くのにも一緒だった。
僕の側には必ず彼がいて、彼の側には必ず僕がいた。

「本当に、二人は仲良しね」

僕らの本当の関係を知らない人たちは、両親も含めて口を揃えてそう言った。
本当の双子のように、僕らは共存したけれど、普通の兄弟と違うのは二人の間に主従があるということ。

「俺の側から離れたら、殺すからな」

僕はなぜだか彼を拒否することが出来なくて、小学校を卒業して、中学を卒業して、高校に入学しても、その関係が終わることはなかった。






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