short story

□ホワイト・カタストロフ
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「アネット!貴女は一体いつまで洗濯をしているの!!」

辺り一面に雪が降り積もった真冬の日。
私はいつものごとく仕事が遅いのを怒られながら、あかぎれて痛む手で、洗濯物を仕上げていく。

「ご、ごめんなさい!」
「まったく、相変わらずとろいんだから。
早く終わらせないと、今夜も鞭打ちにしますからね!」

そんな言葉に、私の背中は痛みを思い出して微かに疼いた。
鞭打ちは何よりも辛い罰である。それだけは絶対に避けたくて、私は今までよりも早く手を動かした。

使用人というと響きはいいけれど、お城での仕事は、ほとんど奴隷として使われているようなものだった。

(もう嫌だな…こんな毎日…)

仕事の量や辛さに比べると、賃金は驚くほど少なく、食事は朝と夜にパンが一つ与えられるだけだ。
こんなに雪が降り積もる寒い日でも、薄い布のような洋服一枚で、外に放り出されて洗濯物を片付けなければならない。

それでも、地位が低い者や、私のように身寄りがない子供は、お城での仕事に縋って生きていくしかないのだ。






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