present
□思春期Alice
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(企画「少年百科」に参加させて頂きました)
「ねぇ、男の子っていうのは、汚ならしい生き物なのよ」
「だけど、貴方はとても可愛いから、男の子なんかには見えないわ」
僕の二人のお姉さんは、なぜだか男の子という生き物を毛嫌いしていた。
僕は男の子だけれど、そんな二人からは妹のように育てられてきた。
二人のように大きなリボンをして、フリルやレースがあしらわれたジャンパースカートを着て、パステルカラーのおでこ靴を履いた。
「可愛いわぁ、まるで、お人形さん。不思議の国のアリスみたいね」
「貴方はそのままでいてね。
外にいるような男の子になんか、なったらやぁよ?」
幼い僕は、そんな格好が大好きで喜んで着せてもらった。
二人につれられて散歩をするのも、童話を聞かされるのも、歌を口ずさむのも、お気に入りだった。