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□流星群の彼
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真冬の夜空から、彼はやってきた。
雨の様に降ってくる流星群に紛れて、彼は私の元へと落っこちてきたのだ。
「二十五世紀、僕は二十五世紀からやって来たんだ」
キラキラと瞬いては消えていく星空を背景に、癖のある茶色い髪をなびかせて彼は言った。
「二十…五世紀?未来…から?」
「そうさ、ここは二十一世紀の日本であっているかい?」
私は持っていたスケッチブックと、筆を思わずその場に落としてしまった。
少しおかしな人なのだろうか?
しかし、この人が空から降ってくるのを私は確かに見たのだ。
「良かった。本当に着くなんて思わなかった。
ちなみに、僕はルイ」
ルイと名乗った青年は嬉しそうに、大きな深呼吸をしてみせた。
今日は流星群が大量に見えるなんて、理科の先生が言っていたから、私は天体望遠鏡とスケッチブックを持って裏山にやって来ていた。
流れては消えていく星の群れを、写真ではなくあえて絵として残したいと思ったからだ。
しかし、天体望遠鏡に映ったのは流星群だけではなく、星にまみれて落ちてきたこの不思議な青年であった。