たんぺん2 after091215
□Let's becomes happy
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「チカさん、笑い方覚えてます?」
「はぁ?」
ユミコの質問に、思わず声が裏返る。
二公演を終えたばかり。
喉も身体もくたくた。
そりゃぁ、突拍子のない質問をいきなり喰らえば声だって裏返る。
思わず喉を押さえると、ユミコは笑いながら、のど飴を一つ差し出してくれた。
「ありがと。」
「いえいえ。」
私がのど飴の袋を開けると同時に、ユミコはその空になったあめの袋を私の手から取り去り、ゴミ箱に捨ててくれた。
「で?なんだって??」
「チカさんの笑顔、最近見てないなぁ〜って思って。」
「・・・これでも頑張って笑ってるつもりなんだけど・・・。」
「笑えてへんよー、ぜんぜん。」
そう言ったユミコの笑顔が胸に突き刺さる。
笑え、笑えって・・・
心から笑うには無理があるってこともわかってほしい。
ユミコの笑顔が、全部ホンモノだとは思っていない。
頑張って作っているモノがあることはわかってる。
でも、前にハマコが言ってたように
『ユミコは笑うことでバランスを取ってる』
だから、笑顔を作っているうちに、それはホンモノに変わるんだと思う。
それって、私には出来ないこと。
笑っていても、本当に楽しくないときは、それがすぐ表面に出てしまう。
そして、その後、かえって辛くなる。
何で私、笑ってるんだろう?・・・って。
「・・・仕方ないでしょ。ユミコも、ハマコもいなくなって・・・。」
「それはそうやけど。」
「大切なものを剥ぎ取られても、私は夢の世界に立ち続けなくちゃいけないんだから。」
私は少し声を荒立てた。
ユミコにこんなことは言いたくない。
だけど、私だって辛いんだ。
これ以上力を入れたら、壊れてしまいそうなぐらい、私には何も残っていない。
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