mist-word 一周年記念
□ゴーイエ的「おやゆび姫」
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ここは、花の国の入り口がどこかに存在する、不思議な王国。
その王国に、ブルーという名の一人のおばさ――げほごほごほ……おねーさまが住んでいました。
小さな小さなその家の窓には、銀の目を持つ一匹のカエルが居座っています。
おば……っとと。おねーさまは、そのカエルをシルバーと名づけて、実の息子――じゃなくて、弟のように可愛がっていました。
「ねえ、シルバー」
『何だ?』
不思議な王国のカエルは、人間の言葉が分かるようですね。
それは、ともかく。
「アタシ、ずっと思ってたんだけどね」
『? 何を?』
「あんたがいてくれるから寂しくはないけど、人間の子供が欲しいなぁって思うの」
『それで?』
「だから、グリーンに子供作ってもらおうって思うんだけど……どう思う?」
『だっ、駄目だ姉さん! あんな奴(賢者)のところへ子作りに行くなんてっ。そんなの、どんな危険な目に遭うか分かったもんじゃないよ!』
おねーさまの言葉は、ちょっと危ない方面の妄想を駆り立てそうです。
実際聞いたカエルの頭は真っピンクに染まってしまい、賢者とおねーさまの……ほにゃららな場面なぞ浮かんでは消えています。
そんなの反対に決まってる! とばかりにぴょんぴょん飛び跳ねるカエルに、
「シルバーも賛成してくれるのね。じゃあ、善は急げよ! 行ってきまーす」
カエルの言葉を真逆さまに捉えたおねーさまは――もしかしたら分かっていて無視したんじゃ、という疑惑を大いに残したまま、さっさと賢者の許へ向かいます。
→続く