『鞭』

 拷問器具としては最も基本的なもの。
 威力は様々で、それのみで使用されることもあれば他の拷問の際に付加的に使用されることも多い。バリエーションも豊富にある。

<皮鞭>拷問具/補助
 鞭の基本形の一つ。なめした皮製であり、殺傷能力は低いがともかく痛い。
 先端に結び目を付けたり星型と呼ばれるぎざぎざの鉄片をつけて威力を増したものもあり、そういったものからサソリ鞭のようなより「凶悪な」鞭が発展したものと考えられている。

<笞(しもと)>拷問具/補助
 鞭の基本形の一つ。木の枝などをそのまま加工したもの。殺傷能力が比較的高いが、痛み自体は皮鞭に劣る。
 日本や中国での使用例が多いが、西洋に存在しなかったわけではない。ただし、拷問用ではなく子供のお仕置などに利用されていたようだ。
 こちらはあまりバリエーションがない。

<クヌート>拷問具/独立
 木製の柄に何本もの皮鞭をつけてよじり合わせ、その先に鉄線で一本の丈夫な皮ひもをつけたもので、これで打たれると一撃で皮が剥がれ、肉が裂けたという。実際にこの鞭で打たれる拷問を受けて死亡したという例も多くあり、かなり危険なものだった。
 基本的には拷問/処刑用ではなく懲罰用だったらしいが、威力がありすぎるために徐々にすたれていったらしい。

<九尾の猫鞭>拷問具/独立
 瘤結びを幾つもつけた皮の鞭を九本束ね、木製の柄につけたもの。西洋全域で使われたが、特にスコットランドのものが有名。これもクヌートと同じく強力な鞭で、皮を剥ぎ取ってしまったり死に至らしめることもあった。
 皮を剥ぎ取ることを目的とした鞭に「猫鞭」というものがあるが、それに比べるとずっと大型で威力も高い。もっとも、威力がありすぎると拷問用の器具としてはかえって使いにくくなる面も出てくるので、一概にどちらが優れているとは言えない。

<サソリ鞭>拷問具/独立
 皮鞭に金属の棘をつけたもの。普通の皮鞭と違い、棘が皮膚に食い込んで傷つけることになる。金属ではなく、動物の骨片などが付いていることもある。
 殺傷能力が高くなった分、危険性はあがっている。ただし、実際の拷問では儀牲者を殺してしまっては意味がないためにこのように殺傷能力の高い器具は使い勝手がよいとは言えず、むしろ威圧効果を狙っている面もあるのかも知れない。

<箒尻>拷問具/独立
 縦に割った竹を二枚合わせ、麻紐を巻き付け、更にその上を糸こよりで縛ったもの。こよりは互いに交差するように巻かれるため、表面には無数のギザギザが生まれることになる。このためにとても軽量にもかかわらず、二・三十回も打つと肌は破れ、血が滴るほどの威力を持っている。
 しかも、鞭自体は軽量でかつ打つ場所も限定できるため、儀牲者のダメージをコントロールしやすく、責め殺す危険をほとんどなしに責めを行なえた。
 江戸時代の拷問における第一段階で使用された器具である。

<月桂樹>拷問具/独立 威圧?
 鎖の鞭のうち、鎖の間に葉の形をした金属製の鋭い刃を仕込んであるもの。
 鎖鞭はそれだけで強力な武器だが、これは更に殺傷効果が高められているため非常に危険である。下手に使うとあっとういうまに儀牲者を絶命させかねないため、これはむしろ威圧用に壁に飾っておかれたものかもしれない。

<いばらの冠>拷問具/独立 威圧?
 鎖鞭なのだが、鎖が薄い剃刀状になっているもの。先端には棘のついた星型がつけられており、極めて殺傷効果が高い。
 月桂樹と同じく、拷問用としては威力がありすぎるように思える。やはり、威圧用の飾りなのだろうか?

<箒>拷問具/独立
 箒といっても枝を何本も束ねたような形のもので、これで叩かれると皮膚が剥ぎ取られてしまう。猫鞭と並んで生きたままの皮剥ぎによく利用された。
 また、これは笞の発展形のようなものでもあり、拷問というよりはちょっとした懲罰に(服の上から)使用されることもあったようだ。

<牛の鍵>拷問具/独立
 雄牛の陰茎で作られた鞭。しなやかで軽く、強靭な鞭で一見たいして威力があるように見えないが、脊髄の基底部を軽く打っただけで死ぬか不具にしたとか尻を二・三度叩くと肉が裂けて骨が見えるとかいう逸話があり、かなりの威力を持っているという。

<猫鞭>拷問具/独立
 九尾の猫鞭と名称がよく似ているが、こちらは主に皮を剥ぎ取ることを目的として使用される。
 これは縄を数十本から百本程度を束にし、先に星型を取り付けた鞭で瘤は作られていないことが多い。使う時は塩と硫黄の溶液に漬けてから吊された犠牲者の背中や腹を打つ。繊維の堅い麻縄を使っていること、硫黄と塩で皮膚が爛れること、そして先端に星型がつけられていることの相乗効果で皮を剥ぎ取ってしまうのだ。
 しかも、犠牲者は皮を剥がれている間中ずっと傷口を硫黄と塩の溶液で洗い続けられ、非常に苦しむことになる。九尾の猫鞭に比べるとサイズが小さい。

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