『水責め』

 水責めの基本はあくまでも水を飲ませることである。これは少量であれば何ともないのだが、大量の水を飲まされることはかなりの苦痛となる。また、人間の胃は水を吸収することが出来ないため、大量に飲まされた水によって溺死する可能性もあるし、腸から体内に吸収された大量の水分は血液濃度を下げ、貧血を起こさせる。場合によってはそのまま死亡する危険性もあった。
 飲ませるものに比べると漬けるものは刑罰的な要素が強い。ただ、こちらも只の水に漬けるとは限らず、汚水や汚物、氷水や熱湯である場合もある。

<木馬>拷問具/独立
 同名の器具は日本にもあるが、実際には完全に別のものである(日本のいわゆる木馬は西洋ではロバと呼ばれる。『股割き』の項を参照)。
 中がくりぬかれた木製の器具で、舟形をしている。内部には十字に棒が渡され、犠牲者はその棒に縛り付けられる。この際、下半身が上半身より高くなるように設計されていた。
 その後犠牲者の顔には布が被せられ、そこに水がゆっくりと注がれる。水によって布は犠牲者の喉の奥へと入り込み、窒息寸前の苦しみを与える。その後に布を引っ張りだすと血と水のためにぐしゃぐしゃになっており、まるで内臓を取り出したようだったという。

<漏斗>拷問具/補助
 水責めに使われる器具としては最も一般的なもの。犠牲者の下半身が上半身より高くなるように台に縛り付け、犠牲者の口にこれをくわえさせて水を注ぎ込む。基本の拷問では9リットル、特別な拷問では18リットルというのが一応の基準ではあった。
 水を注がれることにより窒息の苦しみを味わうこと、膨れ上がった胃がその他の内臓を圧迫することなどにより想像を絶する苦痛を与える。また、実際に行われるときは膨れ上がった腹を押して水を吐き出させる、結び目の付いた布を一緒に飲み込ませ、それを引っ張り出して内臓を傷つける、水を飲ませた後に尿道を押さえ、排尿をできなくするなどといったことが同時に行われ、更なる苦痛を与えた。

<水責め椅子>拷問/単独
 川辺に作られることが多く、さらし刑としての側面も持つ水責め用の器具。
 巨大なシーソーの片側に椅子が付いたもの。その椅子に犠牲者を縛り付けて水に沈める。罪を自白させるためではなく、軽犯罪に対する刑罰の一つとして行われていたらしい。
 当時にあっては、これとさらし台の二つを備えておくことは街の義務であると考えられており、これらの設備を欠いた街に対して罰金刑が課せられたという例もある。

<水責め檻>拷問具/単独
 水責め椅子とほぼ同じ効果、目的の器具で、椅子の代りに先端に檻が吊るされている。椅子とは違って檻は複数の人間を同時に沈めることが出来るが、椅子ほど普及していたわけでもないようである。

<拷問水車>拷問具/単独
 巨大な車輪に犠牲者を縛り付け、回転させることによって犠牲者の顔を水に漬けたり上げたりする器具。車輪の側面に大の字に縛るタイプと曲面に身体を伸ばして縛り付けるタイプがある。どちらにしても遠心力によって意識が朦朧とし、水に顔が漬けられては上げられがくり返されるために犠牲者は大量の水を飲まされることになる。
 それほどメジャーなものではないようで、効果的にも通常の漏斗を用いた水責めの方が高かったらしい。拷問の車輪の発展形のひとつとして捉えることも可能で、『切り裂く』の項も参照。

<熱湯>拷問具?/補助
 実際の水責めでは、ただの水ではなく熱湯を用いる場合もあった。飲ませる方で用いれば儀牲者は口の中を火傷することになり、声にならない悲鳴をあげてのたうち回ることになる。
 漬ける方で用いればもっと悲惨で、全身に大火傷を負って死に至ることになる。こちらは、拷問というよりは処刑に性格が近い。
 特殊な例として、袋の中に入れた儀牲者に外から熱湯を注いで殺すというものがある。

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