『拘束具』

 拘束具と一口に言っても、単に儀牲者の自由を奪うだけのものから最終的には死に至るように設計されたものまで幅広い。
 その多くはヨーロッパで発達したものであり、特に日本に於いては縄による『縛り』の技術が発達したためにここに分類されるような器具はほとんど発展しなかった。

<手枷/足枷/首枷>拷問具/補助
 それぞれが独立していることもあれば、手枷と足枷、手枷と首枷が一体化している場合もあるが、二つの輪で四肢の自由を奪うためのものである。大別すると穴を開けた木の板状のものと鉄製の輪を鎖でつないだものがある。
 木製のものはさらし台に使用されるものとサイズの違いを除けばほとんど違いはない。金属製のものは単に拘束するだけのものから、内側に棘が生えていて苦痛を与えるものまで様々である。
 基本的には他の拷問の準備として、あるいは拷問しないときに逃亡を防ぐためにといった目的で使用されるが、中にはそれ自体で拷問器具として利用できるものもある。
 また、ここに分類しなかったが、審問椅子や拷問椅子、ガロットなども広義での拘束具に分類出来るかもしれない。

<重りつき首枷>拷問具/補助
 鉄製の首輪に、鉄球などの重りがついたもの。鎖の長さはそれほど長くないために、座っている時はまだいいが、立つ時は常に両手で重い鉄球を持っていなければならない。懲罰としての側面も持つ器具である。
 また、その重量自体も危険な武器となりうる。長時間におよぶ着用は金属との摩擦によって皮膚が破れ、壊疽を起すことになる。緩慢に儀牲者を死へと向かわせる、消極的な処刑具と呼べるかもしれない。

<拘束ベルト>拷問具/補助
 脇に小さな輪がついており、そこに手首を通して拘束するようになっているベルト。手を使うことがほぼ不可能になるため、儀牲者は自力ではほとんどなにも出来ない状態に起かれる。そのまま放置して飢えや渇きで苦しめたり、他の拷問を加えたりすることができた。

<皮手錠>拷問具/補助
 鉛の棒を縫い込んだ皮ベルトと手錠を組み合わせたもの。基本的には手錠なのだが、ベルトで繋がれているために普通のものよりも多様な拘束が可能になっている。代表的な使用法としては、ベルトを腰に巻いた状態で両手を拘束(拘束ベルトに近い状態になる)したり、右腕を上から、左腕を下からそれぞれ捻り、背中で拘束(鉄砲と俗に呼ばれた縛りとほぼ同じ。名称も鉄砲と呼ばれていた)したりするものがある。
 なお、この器具は明治時代になってから開発されたものであり、江戸時代のように熟練した技術を持たなくても誰でも拘束が行なえるようになっている。西洋からの文化を受け入れていく過程で西洋的な『専門的な技術がなくても扱えるような器具を作りだす』という思考方が入り込んだのかもしれない。

<拘束衣>拷問具/補助
 本来は、精神病患者などが暴れるのを防ぐためのもの。腕や足の部分が袋状になっており、着せられてしまうとほとんど身動きがとれなくなる。
 現実に使われているかどうかは疑問であるが、犠牲者の行動を封じて好き放題にもてあそぶことができるので小説などで小道具として使用される場合がある。大抵は女性を対象としており、胸や股間の辺りがくり貫かれていることが多い。

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ