読物

□明るい空
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声なぞ上げなければ良かったものを。
慌てて身を隠そうとして身じろいだナルトの内股に、シカマルの残滓が流れ出た。
絶望的。
真っ青になった人の顔を、正直、シカマルが見たのはこれが最初だった。
沈黙が痛い。
血の気の失せたナルトとサスケに挟まれて、息をするのも憚れる。
やがて、多少覚束ない足取りで身を翻したサスケが出て行ってやっと、シカマルは大きく息を吐き出した。
極度の緊張から放たれて、情けなくもしゃがみ込み、頭を抱える。
ある意味。
一番見られてはいけない相手に見つかった。
重ねた両手の隙間からナルトを伺えば、青ざめて、震えていた。
どうしてこうなっちまったのか。
シカマルが迂闊だったのは否応ない。
しかしそれ以上に。
ナルトは、愚かだ。
それが、彼自身のせいとは思えないから、今こうしてシカマルはうなだれているのだけれども。



 翌日から、サスケはナルトを見なくなった。
スリーマンセルで必然、共に居る時間の多いナルトには針の筵だ。
ぎこちない二人に、サクラもカカシも顔をしかめるが、どうしようもない。
何も語らない二人に、どうにもしようが無かった。
「ねぇナルト…サスケ君に謝りなさいよ。」
「ごめんね。サクラちゃん。」
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