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□優しいキスをしよう?
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振り上げられた右手にパシッンと音を立てた左の頬と、その後に投げ付けられた言葉にオレは起き抜けでいつもより、血の巡りが鈍ってる頭が真っ白になった。
「この尻軽っドベっ!」
下忍の任務の為に集まる集合場所に、寝坊し掛けたオレはトーストを一枚咥えて焦って走りに走って滑り込みセーフして、乱れた呼吸を整えていたんだってば。
叩かれた衝撃で、咥えてたトーストが地面にポトンッと墜ちた。
「……あっ?……」
先にきてたサスケがなんか機嫌悪そうにオレを睨み付けてたから、遅刻し掛けたオレを怒っているんだと思ってたら、いきなりのこの仕打ち。
はぁっ?!なんだってばよ?
「……サクラちゃんは?……」
撲たれた頬の熱さに目を瞑って、まずは気になった事を聞いてみる事にした。
深呼吸を何度か繰り返してから、いつもはオレより先にきてる筈のサクラちゃんの姿が見えない理由を聞いた。
「サクラは風邪で休むと連絡があった……」
何事もなかったみたいにサスケは一応教えてくれたけど、オレの方を一片も見ない。
「カカシ先生は……聞くまでもなく、遅刻だってばね?……」
当り前な事実を確認するオレに、サスケはなんか異変を感じ取ったみたいに、やっとオレに視線を向けてくれた。
「いつもの事だろ?」
「ふーん。じゃあさ当分二人っきりだってばね?」
昨日の夜はとっても優しく頬に触れてくれた手が、なんで今日は殴るんだってば?
信じられないってばよ。
痛いし、吃驚したし、そして物凄く哀しいんだってば。
「ふんっ!ウスラトンカチなんかと話す事なんか、オレにはないぜ?あぁ、浮気の言い理由か?時間の無駄だ。聞く気なんかない」
ホント取り次ぐしまも暇もないサスケに、涙が滲みそうになった。
「……浮気?ってなんだってば?サスケが浮気したんだってば?」
殴られて浮気されちゃったんだ?オレってば、ますます惨め過ぎるってば。
「ふんっ!なに言ってるんだ?浮気したのはお前の方だろ」
真犯人を見付け出したみたいなサスケは、冷たい視線でオレをまた睨み付けてた。
「へっ?浮気したのはオレなんだってば?」
身に覚えのないあまりな言葉に、唖然とするオレは口をポカンと開けてた。
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