読物

□境界線1
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 列車は燃えていた。
金属で出来た箱は、窓のそこかしこから火を噴いていた。
転がり落ちた時に打ち付けた肩を抑えながら、サスケはただ茫然と、その光景を見詰めていた。



 





 古びたコンクリートの打ちっぱなしの壁に、錆びた上から塗装を施された茶の扉が列ぶ。
そのうちの一つにサスケは鍵を差し込んだ。
何も特別な事等無い。
乾いた音を立てて錠が開く。
常と同じ、手に馴染んだドアノブの感触。
扉を開き、中に入ろうとしたその時、日常は壊された。
深夜の静寂を掻き乱す気配。
ヒタヒタとした足音。
乱れた呼吸音。
非常階段から、このフロアに踊りでた人影は、シーツの様な布を纏って。
辺りを伺い身じろぐ様子は危機迫るが、サスケはどこか暢気に、踊っているようだと感じた。
ふと。
彼の目がサスケを捉えた。
「助けて。」
青い瞳。
この国では珍しく純粋な金髪だった。




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