読物

□不器用な二人
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サクラの言葉にサスケは少し困った顔をしてから照れたような顔をしてから「伝えるつもりだ」と答えた。
サクラはそんな素直なサスケに優しく微笑みかけて「頑張って」と応援の言葉をかけるとその場からユックリと離れていった。
俺の答えを解りながらも俺に自分の気持ちを告げたサクラ。
サクラの気持ちは真剣なものだろう、きっと家に帰ったサクラは泣くのだろう。
俺に振られると解っていたとしてもそれでも勇気を振り絞って告白したのだ泣かないはずがない・・・
そんなサクラの背中に勇気をもらったサスケはサクラに感謝しながら話しかける事が出来ずに帰ってしまったナルトの後を追う事にした。
今ナルトはどこにいるのだろうか?恋人であるカカシと一緒にいると考えるのが正しいだろう。
カカシとナルトが付き合いだしたと噂を聞いたのはいつだっただろうか?確かカカシ班が結成されてそう経ってなかった頃だと思う。
俺はその噂に吃驚して、そして自分の気持ちに気づいた・・・
気づかなければあの二人を祝福出来ただろう・・・
しかし気づいてしまったものは仕方が無い・・・
俺は毎日嫉妬であの二人を見続けた。
早くに自分の気持ちに気づいていれば今カカシの場所にいたのは自分だったのではないだろうかなどと考えたりもした。
でも結局自分の気持ちに気づきもしなかった自分があの場所にいるはずも無く・・・
自分の愚かさに後悔ばかりする毎日・・・
その想いを今日断ち切る。
告白して振られる事で何かが大きく変わるとは思えないけど・・・
それでも気持に区切りは付けられるような気がする。
二人を祝福できる気がする・・・
サスケがそんな事を考えながらカカシの家に向かい歩いていると後ろからいつもの抜けたた声で呼びとめられた。
サスケは何故?と疑問を感じながらも後ろへと振り向く、そこには想像どうりの人物が飄々とした表情で立っていた。

「何であんたが今ここに一人でいるんだ?」

サスケは自分の班の担当上忍が一人でそこにいる事を不思議に思い素直に尋ねる。
今日は恋人たちのイベントなのだここにカカシが一人でいるなんておかしいのだ。

「え〜なんでってね〜ナルトに頼まれたからでしょ〜お前を呼んでくるようにね〜」

カカシの言葉にサスケは吃驚する。
何故今日のこの日にナルトは俺を呼び出す?しかも恋人のカカシを使って・・・
ナルトとカカシが何を思ってこんなことしているのか意味が解らない。

「お前何ボケた顔してるの?いいから付いてきてくれる?早く行かないとナルトに俺が怒られるのよ〜本当にあの子は自分じゃ何も出来ないくせに親代わりの俺に対しては酷い扱いすんだから・・・」

カカシの言葉にカカシの後ろを訝しながら歩いていたサスケが不思議そうな顔をする。
そのサスケの変化を察知したカカシはニヤッと妖しく笑う。

「ナルトも鈍感だけどサスケもナルトに劣らず鈍感だよね〜」

「なっ!!何言ってやがる!」

カカシの言葉にサスケは不機嫌をもろに出して怒鳴りつける。
そんなサスケにカカシはニヤニヤと妖しく笑い続けながら前だけを見つめ歩く。
サスケはそんなカカシに怒りを覚え攻撃を仕掛けようとしたその時カカシが立ち止まり勢いよく飛びかかろうとしていたサスケはつんのめってしまった。

「何やってるのお前?ほらあそこにナルトがいるでしょ?」

つんのめったサスケにカカシは馬鹿にしたように話しかけて公園のブランコに座り下を見つめ続けるナルトを指さした。
ナルトは地面だけを見つめ何か真剣に呟いている。
その太ももの上にはラッピングされたプレゼントのような箱。
不器用なナルトがラッピングしたのだろうお世辞にも奇麗とは言えないその箱はおそらくチョコレート・・・
何故カカシとナルトはここに自分を呼び出した?カカシにチョコを渡すナルトを見せつける為か?これは俺への忠告なのか?俺達の邪魔をするなと・・・

「ナ〜ル〜ト〜言われたとうりにサスケ連れて来たよ〜後は自分で頑張りなさいよ〜」

色々と嫌な方に物事を考えていたサスケを放置してカカシは公園のブランコに座っているナルトに話しかけた。
ナルトはカカシの呼びかけに反応してその顔をこちらに向ける。
その顔は頬を少しピンクに染めてはにかむように笑っている。
サスケは今からこの二人に自分はどん底に落とされるのかと絶望の淵に立った気持ちになる。

「じゃ〜サスケ後は任せたから〜あっそうそう!キスまでは許してあげるけどそれ以上は大人になってからにしな、俺はお前達の親みたいなもんだから〜それ以上はまだ早いと思うのね〜だから俺の許しが出るまでナルトに手出しちゃダメだからね」

カカシはそうサスケに忠告すると微笑みそしてナルトに「頑張りなさいね〜」と告げるとその場から煙幕とともに消えた。
その場に残されたサスケは何が起きたのかと動揺し自分はどうすべきなのかとうろたえる。
そんなサスケにナルトはクスクスと笑いながら隣のブランコを指さす。
サスケは今から何が起こるのか解らずにいたがナルトの指示に従いナルトの所まで近づき隣のブランコに腰掛けた、するとナルトがぼそっと呟いた。

「サクラちゃんからのチョコどうしたてば?」

サスケは先ほどのサクラの告白をナルトに見られていたのかと少し困った顔をしてから素直に答えた。

「受け取らなかった・・・」

そうサスケが答えるとナルトは俯かせていた顔を上げてサスケの方を見つめてくる。
サスケは今ナルトがどんな顔をしているか見たくて顔をナルトの方に向かせる。
ナルトの瞳は少し潤み頬をピンクに染めてサスケを誘っているようだ。
そこから二人はお互いを見つめ何も話さない・・・
長い沈黙を破ったのはナルトの方だった。

「サスケ・・・あの・・・その・・・」

また顔を俯かせモジモジとなかなか言葉を続かせないナルトにサスケは少しイライラしだす。

「何だよドベ・・・言いたい事があるならハッキリ言えよ・・・」
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