読物

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 夜間に光が無いのは常だった。
打ち付ける怒号。
炸裂音。
閃光が身近で瞬いたのは、その日が初めてだった。
「早く出ろ!」
普段看守にしか開かれる事の無かった扉が、シカマルによって開かれ、ナルトはとても驚いた。
「良いか!?他の奴等の後に着いて外に出るんだ!」シカマルに会うのは数度目だったが、彼と口をきくのもまた初めてであった。
彼は、ここに居る子供達の誰とも扱いが違う事をナルトは知っていた。
「何?何が有ったの?シカマルは何処行くの?」
人の流れとは逆行しようとするシカマルにナルトは尋ねた。
「俺は他の奴等のところに行く!お前はこのまま行け!」
外に出ろ。
生き残れ。
混乱した子供達の雑踏の中で、彼の声がナルトの背を押した。
「お互い生きてたらまた会おうぜ!ナルト!」
確かにシカマルの背中はそう言ったが、瓦礫の山がナルトの記憶を遮蔽した。



 「ナルトにーちゃん。おはよってばよ。これ。」
目覚めると、箒を手にした木葉丸が笑っていた。
彼らが住み着いた廃墟には電気も水道も通っていないが、長く住めばそれなりに暮らし易くなってくるものだ。
「朝ご飯出来てるよ。」
唯一の女の子であるモエギの煮炊きの腕もかなり上がった。
ぼんやりと寝起きの目を擦っていると、洗濯を終えたウドンが戻ってきた。
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