読物

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「また、夢見たんだろう。にーちゃん。」
朝の日差しが差し込むカーテンの隙間をぼんやりと眺めていれば、木葉丸がちゃかす様に言った。
「ん?俺、寝言でなんか言ってた?」
「うん。またシカマルの事呼んでたってば。これ。」
にしししと悪戯に笑う彼は無邪気なものだ。
シカマルは、良くナルトに仕事を回して来る取引相手だ。
彼の回して来る仕事は、金回りが良く、本人も子供達に当たりが良いので、木葉丸達はシカマルが好きなのだ。
ナルトは良く寝言で彼の名を呼ぶらしい。
しかし、その時の夢の内容を覚えていた事がないから、何故そんなにシカマルが自分の夢に出るのか、ナルトにはてんで解らない。
けれども割と頻繁に寝言で彼を呼ぶナルトに、幼い弟達は兄ちゃんはシカマルを好きなのだと理解してしまったらしい。
しかも、それを純粋に応援してくれるものだから、ナルトとしては頭が痛む。
「いくらナルトにーちゃんがモテるって言っても、ノンビリしてると他の人に取られちゃうよ?」
ナルトの為にスープをよそうモエギの訳しり顔には苦笑するしかない。
「そんなんじゃ無いってばよ。」
四人が身を寄せるこの廃墟は、元は4部屋立てのアパートだったらしい。
爆撃を受けて崩れた建物の一階の一部屋が、辛うじて形を保っていた所に、彼らは住み着いた。
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