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 「ごめん!シカマル!」
ナルトがねぐらに帰ったのは、既に太陽が南天に差し掛かった頃合いだった。
子供達は日課のくず鉄拾いに出掛けており、部屋の中にはシカマルだけがナルトの帰りを待っていた。
「…おぅ。遅かったな。」「悪かった。寝過ごした。」
今朝にはシカマルが依頼の品を受け取りに来る予定であったのに、ついサスケのところで寝過ごしてしまったのだ。
「てこずったのか?」
「いや。大丈夫。その辺は問題なし。」
はい。
戦利品、と無造作にポケットから取り出されたのは、駐留軍の将校のIDカードと、階級証。
それと、小さく折り畳んだ数枚の書類であった。
「…よし。確かに。じゃ、これ。約束の報酬だ。」
確認後、シカマルが金の束をナルトに寄越す。
「まいどってばよ。」
ナルトは、シカマルがこれらの物を使って一体何をしているのか、詳しくは知らなかった。
しかし、ナルトにとっては割合楽な部類の彼の依頼は、報酬が大きくて、有り難い客だ。
今の所、ナルトの能力を正確に把握しているのは彼だけで、そのうえで確実な計画をも指示してくる。
この能力をシカマル以外には秘匿する事を条件に、彼は少し多過ぎる位の報酬をナルトに約束していた。
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