読物

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シカマルが身を置くこの施設の人間もそうだ。
今こそ自分達の研究の成果を示すのだと、躍起になるばかり。
ならば、彼らが次世代の指揮官へと期待し育てた自分の言葉に耳を傾けたら善い物を。
そう、がなり立てる事の出来ない程に、シカマルは完成し過ぎた子供であった。
「貴方にお願いがあります。」
「君の言葉には従うだけの価値があると、俺は知ってるよ。」
「鍵を下さい。ここの大人達は、来るべき世の国の為と、俺達を育てた。ならば、俺達は、此処で死ぬべきじゃない。」
「成る程。」
その通りだ。
話す内にいつの間にかチェックメイトされる基盤に、青年は手を挙げた。




 「俺オレー。」
鳴らされたインターホンに応じれば、人を小ばかにした声が返ってきた。
サスケは心底舌打ちして、玄関のドアを開けてやる。
無視しても無駄なのは明白だ。
彼にとって、これくらいの鍵は無いに等しい。
「サスケー。急で悪いんだけどさ、こないだの仕事、済んでる?」
「あんたは明日までと言ったはずだ。」
勝手知ったる他人の家と、遠慮無く入って来る客人に、サスケは無愛想に応じて封筒を投げた。
「お!流石サスケ君。終わってるじゃん。」
ひょろりと背の高い、銀髪の男は、器用に封筒を受け取って、中を確かめた。
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