読物

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 「あのさあナルト。」
相談があるんだけど。
そう言ってシカマルが現れたのは、前回の仕事から4日程経ってからだった。
彼の出現頻度としてはやけに早い。
「…どうしたってばよ?」シカマルが俺に相談とは珍しいと、ナルトは笑って彼を迎え入れた。
「お前さ。俺のねぐらに移って来ないか?」
挨拶もそこそこに、シカマルは話し出す。
もっとも、客に出すようなお茶すら無い家だ。
「もちろん、お前の弟達も一緒で良い。」
「…?なんで突然そんな話しになるってばよ?」
別に今のままで自分は何も苦労等ないのにと、ナルトは首を傾げた。
「第一シカマルのねぐらって何処だってばよ?」
ナルトの質問に、シカマルは困った様に俯いた。
彼としては、かねてから選択肢の一つとして考えて居た事だった。
「別に…俺はさぁ。お前が幸せそうに暮らして居るから、それで善かったんだ。良いと思ってたんだよなぁ。」
頭の良い彼にしては、歯切れが悪い。
「そのまま。お前が弟達と、楽しく暮らして行けるなら、仲間に引き込む必要は無いと思ってた。」


 あの日、全土に渡り爆撃を受けた日、シカマルは取捨択一をしなかった。
全てを救おうとしなかったし、救える術は持たなかった。
死ぬ奴は死ぬし、生き残る奴は生き残る。
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