読物

□境界線7
2ページ/5ページ

そして、生き残った者達のいくらかに、縁さえ有ればまた会えるであろうと、考えていた。
直ぐに出会えた者達。
共に逃げた者達も居る。
ナルトの事も、割と早い段階でシカマルは見つけた。
容量の多過ぎる彼の脳の中には、あの施設に居た全ての人間のデータが、今も色褪せずに残っている。
けれどもシカマルが再会したナルトは、何一つ覚えて居なかった。
その上で彼は、兄弟達とやけに明るく暮らしていた。
だから。
そのままにしてやりたかった。
自分達の仲間に引き入れれば、身体を売るような仕事は減るかも知れない。
けれどもその未来には、戦いだけが確実に待っているのだから。
シカマルは、自らの存在意義を国家独立と定めている。
それは刷り込みであったかも知れないが、彼の頭脳はその為のプランを勝手に弾き出してしまうのだ。
思い着いた実行可能な計画に目をつむり、蓋をしてしまう程には、植民地と化したこの国は幸福ではなかった。
その為の手段として、ナルトにいくらかの仕事はして貰ったが、だからと言って彼を自分達の闘争に引き込むつもりはなかったのだ。
正確を期せば、かからわせなくて済むなら、榧の外に置いておいてやりたかった。
しかし。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ