読物

□境界線8
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 シカマルのアジトは、ナルトが住む街から列車で二駅離れた街にあると言う。
たった二駅。
言うは簡単だが、占領軍の統治下にある今、普通の人間が列車に乗って移動する事はかなり制限されていた。
列車に乗れるのは主に占領軍の人間と、彼らに物質を運ぶ御用商人だけである。
シカマルは、詳しい説明は後にするとの事であったが、どうやら他国民としてのIDを某かの手段で得ているらしい。
お別れだけ、しても良いかとナルトは願った。
まだ二度しか顔を合わせていないのに、どうしてかナルトの心に居着いてしまった彼。
けれども。
まだこれしきの関係ならば、今なら断ち切れる気がした。
ナルトは。
どちらかを選択する必要があるならば、サスケよりも弟達の安全を取りたかったのだ。
ナルトを狙うと言う、暁との攻防の巻き添えにするなどなど以っての他だし。
ナルトの庇護のない世界に彼らをほうり出す分けには行かなかった。
彼らはきっと、ナルトがいなくとも逞しく生きるだろう。
けれどもそれは今よりずっと苛酷になるのだ。
彼らが居たから、ナルトは今笑って居られる。
その存在は、なくてはならないものだった。
好きな相手はきっと。
彼じゃなくてもまた出来る。
そうやって、ナルトは笑う事が出来た。
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