読物

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 フォラスは深い森に被われた国だった。
四方は高い山々に囲まれ、どちらかと言えば牧歌的な風土だった。
しかし、時は列強諸国が覇権を争い、地図を塗り替える事に没頭する時代。
天然の要塞を持つフォラスも、打ち寄せる戦の波には抗えなかったのだ。
国を強くせねば滅ぼされる。
それは今も続く世界共有の、脅迫観念だった。
フォラスは国を挙げて、優秀な兵士の育成に取り組んだ。
身寄りの無い子供、特殊な才能を持つ子供を集め、人体実験さながらの『研究開発』を行ったのだ。
シリアルナンバー07610はその中でも、更に特殊な子供だった。



 「馬鹿を言うなシカマル。あいつは確かに女だった。」
サスケはそれを目の当たりにした事があった。
「07610は、性別なんか無い。」
シカマルは文章を棒読みするかの様に口にした。
「性染色体、XとYを同時に持つ、言わば超人類だ。自分の意志で身体はいくらでも造り変えられる。身体の損傷も、あっと言う間に再生する。俺達人類の枠の外の生き物だ。」
その上、目にした物なら何でも複製出来る。
特殊能力者。
「けれど、目に出来て、認識出来た物しか複製出来ない。」
だから。
「アカデミーの連中は、お前と07610を交配しようとしたんだ。00349。」
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