読物

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それは、サスケにとって忌まわしい数字の羅列であった。
灰色の研究機関、アカデミー。
建物を取り囲む森は鬱蒼と、寧ろ黒々しかった。
あの箱庭の中で、唯一鮮明なのは、07610と呼ばれた少女だけだ。
「ナルトが…07610?」
サスケは、シカマルの話の内容を反芻するかの様に呟いた。
身体を好きに造り変える超人類だと?
「ナルト。サスケにお前の特技を見せてやれ。やっぱり目の当たりにしてみないと、信じられない話だろ?」
「…うん。」
自分にも説明が欲しい所なのに、完全に後回しにさるているナルトは、どこか腑に落ちない返事をした。
まあ、サスケとの話が終らないと自分の番は回って来ないらしいからと、シカマルの指示に従う事にする。
両の掌を合わせ、意識を集中。
彼を見守るサスケとシカマルの目の前で、スルスルと金の髪が伸び、体のラインがふくよかに形を変えた。
鳩が豆鉄砲を喰らったかのような。
驚愕に唖然とするサスケの顔は、常日頃の仏頂面との差が激し過ぎる。
「あっは!サスケ変な顔!」
思わず笑ったナルトの声は、少女らしくやや高さをましていた。
「…シカマルてめぇ。」
何故知っていたならさっさと教えなかったのかと、渇いた喉の奥からサスケが言葉を吐き出した。
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