読物

□明けない夜
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 生まれた時から、何かに飢えていた。
けして充たされる事の無いそれに、日々苛まれていた。
だぁれも近付いて来ない。誰も。
温もりをくれない。
下忍になって、仲間の出来た今でも、物足りない。
充たされない。
愛?
それを愛と言うの?
シカマルはそう言った。
お前は人の温もりに飢えて、与えられない愛情を、男の腕に探して居るだけだと。
「けど、それはお前の望む物じゃねぇよ。」
「シカマルも…違うの?」
情事の後、髪を括り直すシカマルに、ナルトは尋ねた。
「俺は、何処まで行ってもお前のダチだ。お前は俺じゃ充たされねぇよ。」
じゃあ、何時になったらこの渇きは癒されるの。

サスケなら…良いの?

 小さなベッドに腰掛けて、ナルトは上着を脱いだ。
部屋の入口に所在なげに佇むサスケの、先程までの勢いは何処へいったのか。
「…サスケ…?」
自分を見ろと言ったのはサスケなのに、彼が自分を見てくれないのでは意味がない。
小さくため息をついて、ナルトはTシャツの裾を弄ぶ。
「…やっぱり…俺…駄目だよね…。」
すぐに肉体を求める。
「駄目じゃねぇ…よ。」
否定するが、困った様に眉根寄せている。
「だって、サスケってば嫌そうじゃん。」
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