読物

□沈まぬ太陽
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 「よう。」
暮れ時。
「ああ。らっしゃい。」
「良いか?」
「うん。サスケ、任務の帰り?」
埃っぽい荷物を背負う姿は明白だが。
「ああ。」
「そか。お疲れさん。」
労って。
ナルトの部屋の古ぼけた扉は、二人の姿を飲み込んで閉じられた。
背の伸びた二人に、ナルトの部屋は次第に狭くなっくる。
「飯は?」
荷物を無造作に放ったサスケにナルトが問う。
「まだ。」
どうやら此処に直行したらしい。
「じゃ、二人分つくるってばよ。」
その間に風呂入ればと、ナルトが背を向けたまま言う。
「ああ。」
サスケが風呂場に向かうのも、背を向けたまま気配で感じ取った。
勝手知ったるなんとやら。いつの間にかナルトの箪笥は一段サスケの衣類に占拠され。
半分もう、彼が住み着いている。
なにそれ?
あんたらどういう関係?
イノに訝しがられて初めてナルトは考えて、多分、兄弟なのだと返事した。
互いに自分の家に帰れば一人ぼっちだし。
一人よりも、二人で擬似家族みたいになっている。
もういっそう、結婚して本当に家族になれば良いじゃない。
悪戯にサクラが冷やかして。
それは無理なんて三人で笑った。
でも。
やっぱりサスケは兄弟みたいな物だと、玉葱を刻みながらナルトは頬を緩めた。
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