読物

□焔の下に
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 「シカマルさん。ここってどうなるんでしたっけ?」
木の葉本部の控室。
湯気の立つ湯飲み片手に、ぼんやりと窓から空を覗いていたシカマルは、現実に引き戻された。
「んあ?」
「もーシカマルさん。また上の空で〜。シッカリしてくださいよー。」
「てめぇ。良くそんな口効けんな。」
眼の前の、出来の悪い部下の書類作りに付き合わされたシカマルは、めんどくせぇと彼を一発小突いた。
「誰の為に居残りしてやってると思ってんだ。カイジ?」
「へへへ…ですよねー。すんません。」
ズズズと音を立てて茶を啜るシカマルに、彼は素直に謝った。
オツムは多少弱いが、性格は悪くない。
そんな彼が気にいってるからこそ、シカマルも世話をやいてやっている。
仕方ねぇなぁと、彼の手元を覗き込んだ時、控室に新手が入ってきた。
「あ…。」
先に振り返ったカイジが、横顔を紅く染めている。
いかにも任務帰りのフォーマンセル。
内三人は伝説の三忍をそれぞれ越えたと言われ、残りの一人も生粋の暗部育ちと聞く。
「やっぱりカッコイイなぁ。俺もいつかあの人と一緒に任務に着きたいす。」
「はぁ?」
後輩の忍の多くが、彼等を憧れの対象にしているのは、シカマルも知っていた。
「辞めとけ。めんどくせぇぞ。」
けれども、シカマルは知っている。
彼等一人一人が並外れたくせ者だと。
「シカマルさんは同期だから、皆さんと親しいんですよね。」
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