読物

□ちりちり
1ページ/5ページ

 「ちょっと…サスケ君…。」
もういい加減、君付けするのも煩わしいと内心毒づきながら、サクラは大きく吐息をついた。
「んあ?」
任務も終了し、里へ帰る前に腹拵えと寄った茶屋で、早々に食事を平らげたサスケは気もそぞろに返事する。先程から外ばかり眺め、早く出たいとばかりにそわそわと。
全くだらし無いとサクラは呆れる。
百年の恋もとうに冷めて、冷え切った。
「少しは落ち着きなさいよ。そんなに急がなくたって、里はもうすぐなんだから。」
「うるせぇな。だったら飯なんか喰わずにちゃっちゃと帰れば良いじゃねぇか。」
窘めるサクラにサスケが苛立ちを顕に言い返す。
地雷だ。
「なんだとぅ!」
「サッ!サクラ!?」
「キバやシノが負傷したあんたを気遣かって、休憩入れたんじゃ!この馬鹿が!」キバが止めに入る間もなく、茶屋の外に吹っ飛ばされたサスケに、サクラが怒鳴る。
「その態度はなんだ!あれ位の任務で怪我なんかしやがって!大方ナルトの事ばかり考えてたんだろう!腑抜け!」
「サクラさん…落ち着いて。」
余りの彼女の剣幕に、キバがオロオロすれば、怯えた赤丸が店の隅で縮こまった。
ただ、普段から何を考えて居るやら解らないシノだけは、我関せずの様相だ。
「虫の息…。」
多分、サスケの現状を表した一言に、キバと赤丸が寒々しく身を寄せる。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ